杣人(そま)
山中にて木を切て渡世する者を、杣といふ。およそ奥山にては、
いかなる大木を切たをすとても、枝など打ことはなく、只
はじめより根の所をまさかりにて切たをすなり。和歌には木曽の
杣人を専 (せん) によめり。木曽は信濃国にて、奥ふかき大山なり。杣人の
分入 (わけいる) 山の道しるべには、小木を切かけて目印とす。これ枝折 (しおり) といふ。
和歌にもよめり。栞 (かん) の字、杣人の道しるべの事なる由、諸文に見えたり。
杣人 woodcutter