きのふは深川のわたり、廣幡の御社に為朝の神のをが
まれさ勢給ふを これかれっそひつれて行つ けふハ橋場の浅
茅が原にほとゝぎすきゝに等友たちのいひさわげば 窓の
もとにのミ日を送らんも餘りにさうざうしくて やをら立出るに
木々の梢は青葉所勢く志げりあひて空も悲とつの緑
なるに白き雲のやうやうさまざまにむらがり出るかたちハげに
あやしき峯といひけんも事わりかなとすずろにさまよひ
ありくほど待乳[マツチ]の山をこえ猿橋をわたるに田鶴の諸聲雲
井にひゞくハ尾張の櫻田なるへし 筑波根の雪ハ日金
峠の旭にかゞやきてこのも かのもに志ろかねを志き住の江
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