摂州木津きつの干瓢 (かんへう)
むかしは、大坂三津寺よりおほく干瓢を出
す。今は其地、町家となりぬ。其南の一村を
木津と云。里人これを作り、実 (み) のりたる時取て、輪 (わ) 切にし、皮を
去て、細くむきあげ、竿 (さお) にかけて、日にほす。其白きこと雪
のごとし。木津は、かんぴやうの名物也。凡 (およそ) これをむくは、剃刀 (かみきり)
を左の手に持、右の手にて輪切のかんぴやうをまはしてむく也。

		摂州木津きつの干瓢 (かんへう) むかしは、大坂三津寺よりおほく干瓢を出す。今は其地、町家となりぬ。其南の一村を木津と云。里人これを作り、実 (み) のりたる時取て、輪 (わ) 切にし、皮を去て、細くむきあげ、竿 (さお) にかけて、日にほす。其白きこと雪のごとし。木津は、かんぴやうの名物也。凡 (およそ) これをむくは、剃刀 (かみきり) を左の手に持、右の手にて輪切のかんぴやうをまはしてむく也。
摂州木津きつの干瓢 Kanpyō from Kizu in Settsu province Cut the fruit of the Yuga tree into rings, remove the skin and peel it into thin strips, and hang it on a pole to dry in the sun.